アニメ版シャングリ・ラ視聴終了。
久しぶりの更新。
夏には夏らしく夏じみなことをするでもなく、ただひたすら私用に追われてブログの更新を怠った私は、映画を観るでもなく本を読むでもなく、毎日私用をこなし、欠かさず1時間アニメを観ていました。こんな夏の過ごし方をしたのは初めてです。
――さて、そんなアニメ漬けの日々を過ごしていた私が、アニメ版シャングリ・ラ全話視聴終了。
映像化された原作付き作品を原作と比較するのは失礼なことだと思うのであまりしたくないのだけれど、これはちょっとヤバかった。
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原作が独特の世界観を持ったコアなSFである為、全体の構図をシンプルに纏めようというのは分かる。
原作ではラスト付近土壇場で登場し場面を引っ掻き回すラスボス(鳴瀬良子)をかなり初期に登場させる等の配慮は正解だったし、主人公達アトラスランク・トルプルAのルーツを神武天皇でなく卑弥呼にしたのも当然といえば当然だろう。
しかしメインテーマである「自然」が人間を追い越してゆくシーンが無くなった為、作品全体のテーマが揺らぎまくっている。これは残念。アニメのラストで國子は自分達のシャングリ・ラを作ることを誓うが、原作では地球の意思とでも言うべきものが介在する大スケールな「シャングリ・ラ」が暗示される。
原作読者の僕は退屈しなくて良かったが、あのスケール感こそがSFの醍醐味だと思うので、アニメが気に入った人は是非原作を読んで欲しい。きっとビックリするから。
アニメではカットされたシーンがかなり多し、ラストも違うのでアニメから入った人でも無問題かと。
原作小説の主な見所としては――
- 大量のシモネタ
- バルクマッチョ化するモモコ姉さん。
- 座頭市でランボー3な小夜子さん。
- タルシャンとのセックス中に円周率を割り切ったり、バイオリンで神を降ろして水蛭子を撃退したりと、とにかくカオスの権化、鳴瀬涼子。
- 天の沼矛を巡る戦いはハーレー・ダヴィッドソンでのバイクチェイス。
- 死体から胆石を取り出して性器に埋め込むのが趣味という変質的なモブキャラ。
ホラ、楽しそうでしょ?
もう、どれも何で映像化しなかったんだろっていうくらい勿体無いシーンですよね!
……しかしこう並べてみると筒井みたいですね。(えー
ちなみに、ニュータイプのシャングリ・ラ特設サイト(現在閉鎖)において、
「擬態迷彩に似たアイデアが今後あったら、それはシャングリ・ラのパクりなのよ!」
とモモコ姉さんが自信満々に脅かしていたにも関わらず、バッチリ小説に影響されてタコカムをMGS4出した豪傑・小島監督は帯でこう言っております。
「“東京”を感じ、“現在”を感じ、“地球”を感じさせる小説だ」by小島秀夫
僕にはこんな格好良いこと言えません。
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