円城塔が、屍者の帝国を書き継いでくれるらしい

 はてな経由にて。
 http://headlines.yahoo.co.jp/hl?a=20120117-00000639-san-soci
 僕は『ハーモニー』を読んで以来――正確には伊藤計劃が亡くなって以来、SFを読むのをぴたりと辞めてしまった。ここ3年は、歴史小説とミステリとノンフィクション、あとはラノベしか読んで居ない。ハーモニーはそれくらい僕の中で決定的な体験となっていて、「伊藤計劃がもう居ないのなら、もうSF読まなくていいや」くらいの到達点だと感じていたし、そう断じていた。


 MGSPWのビッグボスやストレンジラヴの様に、死者の最期の遺志に近づく為に日々研究や内省を深める――という事もなく、ただひたすらに自分の立つ場所を見つける事ができずにいた。
 それだけのMGSPWの「伊藤計劃に捧ぐ」という一分は僕の胸を締め付けた。
 ただハーモニーのあのラスト――あれが伊藤計劃の最終結論だと思うと、少し寂しいな、と思っていたが、その次が書かれる事は無いということが「壁」となって、ずっと引っかかっている。


 ただ、この円城塔の新作で。
 伊藤計劃の残されたプロットで描かれる内容によっては、この「壁」に光が刺すかもしれない。これは僕の人生を決めるくらい大きな出来事になるかもしれない。僕は中で3年間止まっている部分が、動くかもしれない。
 このニュースに僕はいま期待と不安で、本当に、比喩でもなんでもなくモニターの前で指を震わせている。


 とりあえず、ここ3年で落ちたSF力を取り戻す為に、少しでもSFを読んで、力を付けなければ。
とにかく万全の体制で、円城版「屍者の帝国」に挑みたい。『ハーモニーのラストを超える意思』に出会ったならば、それはきっと僕の人生の課題であり、始まりになってくれるだろうから。

 最期になるのも何ですが、円城氏が芥川賞を受賞との事に、正直驚いた。
 氏の作品を読んだ最期はいつだったか――正直、今の日本にウケるとは思って居なかったので。むしろ完全にSFオタ向けだと思っていたので、今はどんな作品を書いてるのだと目を剥きました。
 3年間止まって居た自分が悔やまれる。