栗本薫逝去。

 栗本薫が亡くなった。
 すい臓癌であったという。


 ずいぶん前から癌でかなり危ないらしいとは聞いていて、「グイン・サーガが完結しないかも知れない」と覚悟はしていたのだが、そんなことは何の心構えにもならなかった。


 本屋でグイン・サーガを見かける度に「いつか読んでやるぞ」と思いつつも、あまりの長大さに怯んで手を出せていない僕なんぞに栗本薫を語る資格は無いだろう。
 だが今後彼女の後を継げる程の稀代な才能が現れないだろうという事は僕にだって分かる。


 僕は彼女の事を「超人」だと思っていた。
 どこかここでない世界を頭に描き、その世界で次々と物語を想像し続けられるなんて。


 物語が未完になってしまったのはあまりに惜しいが、物語の完結を誰より望んだのは栗本薫自信だったろう。1人の人間の人生じゃ書き足りない物語を想像できた人。
 そんな人が、これから先現れるだろうか。


 そんな稀代の才能に生で触れられなかった事を、僕は強く後悔する。
 栗本薫が元気な内に、グイン・サーガに触れておきたかった。

 願わくば彼女の後を継ぐ稀代の天才が再び現れ、「砂の惑星」の様にグイン・サーガの続きが書かれる事を。


 最後になりましたが栗本薫さん、ありがとう御座いました。
 グイン・サーガに触れてない僕ですが、貴方は多くのSFファンに文字通り大きな喜びを与え続けてくれました。遅まきながら、僕も貴方の描いた長大な世界を旅してみようと思います。


 貴方は伝説の人です。